日本新薬(4516)の株価がストップ安となり、前営業日比700円安の2874円で売り気配となっている。5月27日に発表されたデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療剤「ビルトラルセン」の国際共同第3相試験の解析結果速報で、主要評価項目においてプラセボ投与群との統計的な有意差が認められなかったため、失望売りが広がった。同日、日本新薬は5カ年の中期経営計画も公表し、2029年3月期の売上収益を2300億円、営業利益を300億円とする目標を掲げた。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、主に男児に発症する遺伝性の筋疾患で、進行性の筋肉の衰弱と喪失を特徴とする。治療が難しく、多くの患者は車椅子生活を余儀なくされ、心肺機能の低下による生命予後も悪い。ビルトラルセンは、DMD患者の筋肉機能を改善することを目指して開発された薬剤であり、エクソンスキッピングというメカニズムを利用して、欠失しているジストロフィンタンパク質の生成を促すことが期待されている。
今回の試験結果は失望を招いたものの、ビルトラルセンの将来性にはまだ希望が残されている。第3相試験の結果が全てではなく、さらなる解析や追加試験が求められる場合がある。治療法が限られているDMDの分野では、新しい治療法の需要が高く、ビルトラルセンがその一翼を担う可能性は依然としてある。今後の試験や研究開発の進展により、効果が確認されれば市場における評価も向上する可能性がある。
日本新薬はこの試験結果を踏まえた上で、引き続きビルトラルセンの改良や新たな治療法の研究に取り組むことが予想される。同社の中期経営計画にも示されているように、今後も医療分野での革新を目指し、長期的な成長を見据えた戦略を進めることが期待される。